でも、このコーランの前ではその仮面もはがれる。それをわかってか、コーランは尚も言い続ける。
「言えばいいんですよ。俺が作った料理を君が美味しそうに食べてくれてとっても嬉しいって」
「言えるか!!」
「言えばいいんですよ」
コーランは口元に笑みを浮かべたまま、俺をじっと見つめてくる。その目は口元に反して真剣だ。
「君が本当のジュアナじゃないことは会った時に気が付いていた。君がラニマール家の使用人エルマだと知っているし、俺はそれが嬉しいんだ……って」
「くっ……」
言い聞かせるかのようなコーランのセリフに、俺はもう何も言い返せなかった。
「そ、そんなこと、口が裂けても言えるか!」
そう吐き捨てると、そのまま先に執務室へと向かった。
本当は言えたらどんなにいいか。
彼女が初めて王宮で挨拶に来た時、一目でジュアナではないと気が付いた。まさかと思ったさ。でも、青い顔でゆっくりと俯きながら近づいてくる姿に、次第に確信を持っていった。
俺がエルマを見間違えるはずがない。
どうしてエルマがジュアナのフリをしているのか、それはわからなかったが彼女は「俺の婚約者のジュアナ」として王室に嫁いできた。
もしここで俺がエルマだと暴いたら、俺の意志に反して周囲から反対にあい、場合によっては彼女は裁判にかけられ処刑されるだろう。
国王代理の権限を持つ俺でも、さすがに王子を騙そうとした者の処罰を止めることはできない。
だから、俺はずっとエルマをジュアナとして扱い、騙されたふりを続けるんだ。一生の秘密として。
執務室の椅子に座り、机の上の書類を見ながらふぅとため息をつく。
悲しそうに俯いたエルマの顔が忘れられない。
どうにかして、明日誤解を解かなくては。でもどうやって? 何て言えばいい? 今さらこの冷たい仮面は人前では簡単にはがせない。
やっと……、手に入れられたと思っていたのに……。
「言えばいいんですよ。俺が作った料理を君が美味しそうに食べてくれてとっても嬉しいって」
「言えるか!!」
「言えばいいんですよ」
コーランは口元に笑みを浮かべたまま、俺をじっと見つめてくる。その目は口元に反して真剣だ。
「君が本当のジュアナじゃないことは会った時に気が付いていた。君がラニマール家の使用人エルマだと知っているし、俺はそれが嬉しいんだ……って」
「くっ……」
言い聞かせるかのようなコーランのセリフに、俺はもう何も言い返せなかった。
「そ、そんなこと、口が裂けても言えるか!」
そう吐き捨てると、そのまま先に執務室へと向かった。
本当は言えたらどんなにいいか。
彼女が初めて王宮で挨拶に来た時、一目でジュアナではないと気が付いた。まさかと思ったさ。でも、青い顔でゆっくりと俯きながら近づいてくる姿に、次第に確信を持っていった。
俺がエルマを見間違えるはずがない。
どうしてエルマがジュアナのフリをしているのか、それはわからなかったが彼女は「俺の婚約者のジュアナ」として王室に嫁いできた。
もしここで俺がエルマだと暴いたら、俺の意志に反して周囲から反対にあい、場合によっては彼女は裁判にかけられ処刑されるだろう。
国王代理の権限を持つ俺でも、さすがに王子を騙そうとした者の処罰を止めることはできない。
だから、俺はずっとエルマをジュアナとして扱い、騙されたふりを続けるんだ。一生の秘密として。
執務室の椅子に座り、机の上の書類を見ながらふぅとため息をつく。
悲しそうに俯いたエルマの顔が忘れられない。
どうにかして、明日誤解を解かなくては。でもどうやって? 何て言えばいい? 今さらこの冷たい仮面は人前では簡単にはがせない。
やっと……、手に入れられたと思っていたのに……。



