サヨナラを言う準備は出来ていた。


指を突きつけられて、苦笑するしかない。
へらへらするな、しゃんとしろ! これまで何度、那月にそう言われてきたか。
元々こんな顔だと反論すると、言いわけするなと怒られる。試合中はもっとキリッとしてるんだから、出来るだろうと。
そうか、試合中の俺ってキリッとしていてかっこよく見えてるのか、と素で喜んだらため息をつかれたな。
今日も、那月は目の前でため息をついてから、小さく笑った。

ひと際大きな、それは大輪のような鮮やかな花が夜空に咲く。
赤、緑、黄色、青と、星を霞ませるほど明るく。


「……ありがと。結星なら、許してくれる気がしてた」


那月はTシャツの胸元を握りしめ、ほっとしたように囁いた。
許すも何も、お前のことだろ。俺が出来るのは、応援だけだよ。お前がそうしてくれたように、俺もどんなときでもお前を応援する。
誰が反対したとしても、俺だけは。

パラパラと花びらが散っていく。
夜景を覆い隠すような煙が、ゆっくりと風に流れていく。


「もうそろそろ花火、終わっちゃうね……」