サヨナラを言う準備は出来ていた。

那月は走りっぱなしだった。毎日毎日、感心を通り越してあきれるくらい、走っていた。
でも休まず走り続けるのは難しいし、走れなくなることもあると思う。
俺は那月の走っている姿が好きだけど、俺が好きかどうかは那月には関係ない。俺だって、涼平だけスタメンに選ばれて、俺はベンチにも入れなかったときはサッカー止めてやろうかと本気で思った。一瞬だけど。誰にだってそういうときは来るものなんだろう。
走ることを止めたって那月は那月だし、走る以外にまた上を目指すものを見つけるだろう。俺の幼なじみはそういう奴だ。

でも……走ることを止めても、那月はまたいずれ走りたくなると思う。幼なじみとしての勘だ。
だからあまり心配はしていない。走りたくないなら、走らなくていい。お前は大丈夫だ。


「何笑ってんのよ」


じろりと睨まれ、俺は両手を上げた。
待て待て、誤解だって。俺はからかうつもりなんか微塵もないぞ。
白く小さな花火が破裂するような音と共に次々に上がる。


「そういうところなんだからね! 結星はすぐへらへら笑うから、ふざけてる、とか真剣じゃない、とか言われるんだから! 勉強でも部活でも、それで何度も損してきたでしょ!」