サヨナラを言う準備は出来ていた。

それは皆止めるだろう。教師なんて相当泡食ったんじゃないか。ランクをひとつふたつ下げる程度の話じゃないぞ。


「結星は、どう思う……?」


少し不安げな那月の横顔が、青に黄色に照らされる。

どうって……別にいいんじゃないか?お前の進路なんだから、お前が行きたいところを受験すればいい。
それに陸上部って大体の高校にあるし、北高にも一応ある。南高の陸上部と違って、強くはないけど。
でも部活がなくたって那月は走れる。整備されたトラックがなくたって、足さえあれば那月は風のように走れるのだ。だから好きな高校を選べばいいと思う。

それにしても、なぜ突然志望校を変える気になったんだろう。
もしかして、俺の志望校だから? でも俺、結局北高行かないけどな。
パラパラと火花が落ちるのと一緒に、那月の視線も落ちていく。


「わかってる。冗談だよ。……ほんとは本気で変えようと思ったりもしたけど、やめた」