部活で走るとき、那月は髪を後ろでひとつに括る。ポニーテールって言うんだっけ。
那月が一歩一歩前に進むたびに、しっぽのように髪が揺れるのを、俺もグラウンドでサッカーをしながらこっそり見ていた。たまに見過ぎて、部活に集中していないと先輩や涼平に怒られた。
そして怒られている時に限って、那月は俺を見てくる。口パクで「ばーか」と笑う那月がすごく眩しいことを知っているのは、多分俺だけだろう。
「ねぇ、結星。私……志望校変えようかなと思ってるんだ」
パラパラとたくさんの火花が街に落ちていく。
那月は自分の腕に顔を埋めながら、俺を横目でうかがってくる。
長い髪が一筋目ににかかっていた。それをどけようと手を伸ばしかけて、止めた。
那月が少し残念そうな顔になったように見えるのは、多分気のせいだ。
「北高に行こうかな……って。皆には止められたけど」
北高って、俺が志望してたバカ高じゃん。
那月が志望している南高とは、あらゆる面で真逆の学校だ。



