サヨナラを言う準備は出来ていた。

でも別にふたりきりで夏祭りに行ったわけじゃないぞ。サッカー部の仲間たちみんなで行ったんだ。マネージャーもふたり揃ってたし。
それに花火の時間には間に合うように、俺は帰り道全速力で走ったんだぞ。お前は知らないだろうけど。

花火が散り切る前に、また新しい花火が上がる。


「もう、結星とここで花火は見れないと思ってた……」


いやいや、本当に見れないと思ってたなら、ベランダに出てなかっただろ。
それに那月だって、陸上部のやつらと祭りに行ってただろうが。しかも男子も一緒に。
俺の所属するサッカー部は、女子マネ含めて男子サッカー部だ。でも那月のいる陸部は男女別。それなのに一緒に行っていた。陸部の部長と楽しそうに射的やってるところ、俺は見たんだからな。

あの時、俺は後悔した。いつからだったか気恥ずかしくなって、夏祭りの屋台を一緒に回るのをやめてしまったことを。
もしかしたら、花火の時間に那月はベランダに来ないかもしれない。俺以外の奴と一緒に花火を見るのかもしれない。
そんなことになったら、俺はどうしたらいい?