あなたが犯した✗✗を全て選びなさい。

最後のページをめくった瞬間、指が止まった。

それまでの問題とは、明らかに違っていた。

今行っているのは公民の確認テスト。

単元は「犯罪と法律」

どれも教科書にある定義を問う、ただの問題だった。

なのに最後だけが、それらすべてを否定するように置かれている。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

問7 あなたが犯した罪をすべて選びなさい

①窃盗

②殺人

③強盗殺人

④傷害

⑤遺体遺棄

⑥器物損壊

⑦詐欺

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


……意味がわからない。

それなのに。

見覚えのないはずの言葉なのに、目を離せない。

まるで頭のどこかが、鍵をかけたまま軋んでいるみたいだ。

私はゆっくりと、これまでの問題を思い返した。

至って普通の問題だったはずだ。

でも、本当にそうなのだろうか。

確認されていたのは本当に知識だったのか。

それとも——。

ページをめくる音が、どこにもない。

誰も鉛筆を動かしていないようだ。

教室は、音を失ったみたいに静かだった。

全員が同じ問題を見ているのが分かる。

同じ一点、同じ空欄を。

カチ……カチ……

時計の音だけが、やけに遠い。

そのとき、背後で椅子がわずかに鳴った。

ギィ....

息が止まる。

テスト中だから振り向けないけれど、それでも分かった。

先生が、すぐ後ろにいると。

すぐ耳元で、低く静かな声がした。

「答えは――✗✗✗、だ。」

その瞬間、全部が繋がった。

問題の意味も違和感も、

このテストそのものの目的も。

私は鉛筆を握ったまま、ようやく小さく息を吐いた。

ああ、そっか——





私は、犯罪者なんだった。





なんだ、そうと分かれば簡単な問題じゃないか。

私はふっと口元を緩めて、迷いなく答えを記入した。









◆答え

①②③④⑤⑥⑦