彼らの夏が終わる

 そうして七人が十分ほど歩くと、相手校が見えてきた。校門を入ってすぐの駐車場では、顧問の灰田(はいだ)が待っていた。

 一輝は灰田へ視線を向けると、すぐに愛香を見た。


「勝っても負けてもあいつに驕らせよう。顧問だし」

「そうしよう。灰田せんせーアイスー」

「先生はアイスじゃありません!」


 七人を迎えた灰田は、目を細めた。


「なんだか君たち、シュッとしたね」

「しゅ?」


 灰田は笑みを浮かべ、そのまま歩き出した。


「シュッだよ。行こう。体育館の場所は聞いておいたから」


 一行がぞろぞろと体育館へ向かうと、建物の周りには相手校の生徒たちが大勢集まり、試合前の熱気に包まれていた。


「あー……こういうタイプ……」


 メイサが呟く。


「なに?」


 藤也が尋ねると、メイサは目を細めた。


「この高校、バスケが結構強くてさ。学内でも人気あるんだよね。だからアウェー感がすごいタイプ」

「よくある?」

「サッカー部だとたまにあるよ。うちだって、一ノ瀬(いちのせ)とか双葉(ふたば)とか、モテる連中を応援しに来る女子はいるしさ」

(ひいらぎ)先輩がたまに絡まれてる」

「知ってる。私も対応してるけど、なかなかねえ」


 メイサは前を歩いていたバスケ部五人の背中を眺めた。


「まなちゃーん、マネージャーさんに挨拶いこー」

「う、うん」


 振り向いた愛香の顔は引きつっている。

 メイサはその向こうにいた大雅に顔を向けた。


「白石、あそこに相手のマネージャーいるじゃん。私とどっちがかわいい?」

「え、なに、そりゃ三枝さんだけど」


 顔をしかめながら答える大雅に、メイサはにっこりと笑いかけた。


「ね」

「……やめてくれない? 好きになっちゃうから」

「ごめんね、彼氏いるから」


 大雅は深く息を吐き、そしてすぐに顔を上げた。


「知ってるっつの! 一輝! 海斗! 翔! 背中丸めてんな!」


 呼ばれた三人はびくっと振り返り、それからゆっくりと体育館を見回した。高い天井や磨かれた床が広がる、ごく普通の高校の体育館だった。


「メイちゃん、さすが」

「だてに三年間サッカー部のマネージャーしてないよ」


 七人は灰田とともに、相手校の顧問と部長へ挨拶に向かった。

 挨拶を終えると、体育館の隅で着替えを済ませ、入念にストレッチを始めた。

 一通りのストレッチを終えたころ、灰田が手を叩いた。


「そろそろ整列しようか」

「っす」


 一輝が頷き、他の四人が続く。

 相手マネージャーへの挨拶と確認を終えたメイサと愛香は、撮影の準備とドリンク、タオルの用意を進めた。

 そして、笛が鳴った。