彼らの夏が終わる

 二回戦当日。駅で待ち合わせたバスケ部の五人とメイサ、藤也(とうや)は、いつもより口数が少なかった。

 空は雲一つない晴天だった。街路樹ではセミがけたたましく鳴き続け、風はほとんどない。じっとりと湿った夏の空気が、七人の肌にまとわりついていた。


「空気が重い!!」


 最初に声を上げたのは大雅(たいが)だった。


「仕方ないね。だいじょぶ? 生きてる?」


 メイサが声をかけると、海斗(かいと)(しょう)は青ざめた顔を上げた。


「な、なんとか」

「ぎり」

「生きてるなら大丈夫。まなちゃんは平気?」

「生きてる。試合するのわたしじゃないし」

「そりゃそうだ。黒杉(くろすぎ)白石(しらいし)は大丈夫そうだから、行こう」


 メイサが歩き出すと、大雅と藤也が自然と両脇に並んだ。


三枝(さえぐさ)さん、俺のことも心配してくれませんかね」

「白石は心配したら勘違いするじゃん。なに、ダメなの? 試合出来ないの?」

「鬼か……? します。できますって」

「ね」


 メイサがにこりと微笑むと、大雅は照れたように頬を赤くし、視線を逸らした。


「ぐ、そういうとこ……」

「ていうか、人の彼女に色目使うのやめてくれません?」


 藤也がメイサと大雅の間に入る。


「で、メイサは俺の心配は?」

「必要?」

「いや? 俺、バスケ部じゃねえし。でも思ったより楽しいから、夏一杯くらいは付き合ってもいい」

「ツンデレか?」


 大雅が吹き出して藤也を見た。

 藤也はにやりと笑い、大雅と肩を並べて歩いていった。

***

 愛香と一輝(かずき)は、列の一番後ろを並んで歩いていた。


「なあ」

「なに」

「帰り、アイス食って帰ろう」

「私、ガリガリ君のリッチ食べる」

「なんで俺が驕る前提なんだよ。試合すんの俺なんだから、愛香が驕ってくれ。ガリガリ君のコーラでいいから」

「勝ったらね」

「負けた挙げ句に、ガリガリ君リッチまで驕らされるのかよ」

「嫌なら勝って」

「勝つ」

***

 海斗(かいと)(しょう)は、愛香と一輝の少し前を歩きながら、後ろから聞こえてくる二人のやり取りに耳を傾けていた。

「なんだ、あの会話。青春ラノベ?」


 海斗が呟くと、翔が遠くを見た。


「俺もかわいい幼馴染みにああいうこと言われたかった」

「幼馴染みいる?」

「いるけど男だよ。この間の部長会で藤也と一緒にいた(やなぎ)

「あ、そうなん」

「だから今日は学校で普通に部活してるし、藤也返せってせっつかれるし」

「ウケる」

***