彼らの夏が終わる

 月曜日の朝、一輝(かずき)愛香(まなか)がいつもより遅い時間に登校すると、朝の光が差し込む廊下では、大雅(たいが)とメイサが話をしていた。


「メメイちゃんおはよー。大雅としゃべってるの、珍しいね」

「おはよう、まなちゃん。黒杉(くろすぎ)も。白石(しらいし)に捕まっただけだよ」

三枝(さえぐさ)さん、俺に当たり強くない?」


 大雅が苦笑すると、メイサは肩をすくめた。


「優しくしたら、勘違いするじゃん」

「ぐ、そうだけどさ」


 きっぱりと言い切られ、大雅は不貞腐れたような顔をした。

 愛香は大雅を見上げる。


「何の話してたの?」

「三枝さんの志望校聞いてた。俺には全然無理だわ」

「大雅、メイちゃんの成績知らないの?」

「……知ってる。ワンチャン狙ったけど無理そう」


 呆れたような顔をする愛香に、大雅は力なく肩を落とした。

 メイサが目を細める。


「そういうところ! ワンチャンじゃなく勝てるように私が鍛えまくってんのに、まだワンチャンとか言ってんのなんなの。根性がないよ、根性が」

「俺、三枝さんのそういうところが好きなんですけども」

「残念でした、ダーリンいますー」

「知ってますー! へいへい、ちゃんと勉強しますよ」


 大雅は不貞腐れたような顔のまま、軽く手を振って教室へ向かっていった。


「じゃあ、私も教室行くね」

「おう」


 一輝は見上げる愛香の頭を軽く撫でて、自分も教室に向かった。

***

「まなちゃん、ついに付き合い始めた?」


 一輝が大雅の後を追って四組に向かうと、メイサは愛香に視線を向けた。


「ううん。でも、うーん。なんか、今みたいなことが増えた」

「黒杉もついに自覚したのかな」

「さあ?」


 愛香はそう言うと、さっさと教室へ向かって歩き出した。

 メイサものんびりとその後をついていった。

***