彼らの夏が終わる

 しばらくすると海斗が体育館に姿を見せ、少し遅れて(しょう)も息を弾ませながら駆け込んできた。


「はよざいます! って、先輩たちいないんすか?」


 翔は舞台の周りをきょろきょろと見回し、不思議そうに首を傾げた。


「じっとしてられないって言うから、走りに行かせた」


 メイサが言うと、海斗も翔も「走りに?」「幼稚園児か?」と首を傾げた。


「あんたらも走ってくる? ストレッチしててもいいよ。この間の試合で出た課題もあるし」

「じゃあ俺、ストレッチします」


 海斗はそう言って床に座った。


「んー俺もそうしようかな。なんか、相手チームの動きが、きゅっとしてたじゃないですか」


 翔が言うと愛香がくすっと笑った。


「そうだね。動きにキレがあった。あれは、足首と股関節の可動域が広いんだと思うよ」

「やっぱり足首……」


 翔は呟いて足を開いて座り、足首を回した。


「股関節のストレッチって黒杉先輩がしてたやつですよね。俺もやります」

「じゃあ、最初は一緒にやろう。寝っ転がって、片足上げて」


 寝転がった海斗の膝をメイサがぐいっと押す。海斗の悲鳴が体育館に響くが、メイサは気にも留めず手を動かし続けた。

 やがて、走っていた三人が帰ってきた。


「白石!」

「はいよー」


 メイサに呼ばれた大雅が汗を拭きながら舞台の前にやってきた。


「大雅、明日から早起きしてね」


 愛香に微笑んで言われて、大雅は目を丸くした。


「もうしてるけど!?」

「もっとだよ」


 にこりと笑うメイサを見て、大雅の頬がぴくりと引きつった。

***