彼らの夏が終わる

 週末。バスケ部の七人は司馬川高校の体育館二階にあるキャットウォークから、コートで行われる練習試合を見守っていた。

 周囲には司馬川高校や東高校の生徒たちも集まり、コートへ声援を送っている。


「どういう伝手(つて)だ?」


 首をかしげた一輝に、メイサがにこりと笑顔を向けた。


「企業秘密」

「いや、説明すんの面倒なだけじゃん」


 大雅が突っ込んだものの、メイサは答えず、そのまま体育館を見下ろした。

 メイサの隣では、愛香がコート全体を収めるようにスマホで練習風景を撮影していた。


「もちろん見学も撮影も許可は取ってあるよ」

「……どうやって?」

「説明すんのめんどくさい」


 メイサは手元のノートを開き、いつでも書き込めるようボールペンを指先で持ち直した。

 藤也は愛香とは反対側でメイサの隣に立ち、腕を手すりへ預けながらコートを眺めていた。


「なんか久しぶりだな」

「あー、前も藤也と三枝先輩で俺らのこと見てたもんね」

「え、そうなん?」


 海斗が頷くと、翔が目を丸くする。そのやり取りを聞き、大雅と一輝もそろってメイサへ視線を向ける。


「あれ、気づいてなかった?」


 メイサは興味なさそうに言った。


「いいから、試合始まる」


 愛香は小さく唾を飲み込む。一輝と大雅も表情を引き締め、コートを見下ろした。

 コートでは両校の選手が整列し、一礼を交わすと、張り詰めた空気が体育館を包んだ。

 審判役の顧問が高くボールを放り上げる。

 ボールを追って選手たちが一斉に動き出し、練習試合の幕が上がった。