迎えた水曜日。一輝を見送ると、メイサは体育館に響くようにバシッと手を叩いた。
「はい、しゃんとしな。2対2やるよ」
「無理……緊張して吐く」
弱音を吐く大雅に、メイサは呆れたように声を返した。
「なんで行かないあんたがグロッキーなのよ」
「だってさあ」
メイサは腕を組み、「ふむ」と一つ頷いた。
「じゃあ、2対2じゃなくてアウトナンバー1対3ね。二年生ども、やっておしまい」
「ちょっ」
「任せてください、三枝先輩」
「気が進みませんが頑張ります」
「悪く思わないでください、白石先輩」
「くっそ、悪乗りしやがって! 先輩の威厳見せたらあ!!」
メイサが藤也へボールを放ると、藤也はそれを受け取り、シューズをギュッと鳴らすと迷いなくゴールへ向かって放り投げた。翔が真っ先に駆け出し、海斗が大雅の前へ回り込んで動きを封じる。リングに弾かれたボールを翔が素早く拾い、そのまま迷いなくシュートを決めた。
「んがー! もう一回!」
男子たちがコートを駆け回り始めるのを見届けると、メイサはノートを開いた。
指先でボールペンをくるりと回しながら、四人の動きや連携を次々とノートへ書き留めていく。
その間、愛香は一輝からの連絡を気にかけながら、対戦相手になりそうなチームの試合動画や練習試合の日程を調べ続けていた。
――やがて、愛香のスマホが震えた。
「きた」
ささやくような声に、バスケ部全員が振り返った。
愛香は素早く一輝からのメッセージを開き、初戦の相手の名前を読み上げた。
「司馬川?」
メイサは小さくつぶやくと、手元のノートを迷いなくめくった。
「まあ、そんなに強くはないね。だいたい一回戦敗退、たまに勝つ、くらい」
「調べんの早くない?」
藤也が思わず突っ込むと、メイサは得意げに鼻を鳴らした。
「誰に口聞いてるの。マネージャーならそれくらい調べておくものだよ」
「俺の彼女が世界一かっこいい」
「部活中は
三枝先輩とお呼び」
藤也がメイサにもたれかかっている間も、愛香はスマホから目を離さず調べものを続けていた。
「ここ、次の休みに練習試合するみたい。相手は東」
相手の名前を聞いたメイサが首を傾げた。
「そこ、聞いたことあるな。ちょっと待ってね」
メイサはカバンからスマホを取り出すと、迷いなくサッカー部のマネージャーへ電話をかける。
「忙しい時にごめんね。あのさ、東高校ってさ、あ、そうだよね」
しばらく話を続けたあと、メイサはにやりと笑って部員たちを振り返った。
「練習試合、見に行こう」
「マジすか」
海斗が目を丸くした。
「他校同士の練習試合って見に行けるもん?」
「どうとでもなるよ。サッカー部のマネージャーつながりです」
「……俺の彼女が宇宙一かっこいい」
メイサは今度はその言葉を軽く受け流し、司馬川高校の過去の成績や試合結果へ視線を戻した。
愛香は一輝とメッセージをやり取りしながら、初戦の日時や会場を確認していく。
「うん。それぞれのポジションは今のままでいこう」
「だいじょぶ?」
大雅は不安そうな表情でメイサを見つめた。
「大丈夫。白石、突っ込んできな」
「……うす」
「三枝先輩、俺は?」
メイサの背中にくっついていた藤也が、肩越しに手元を覗き込む。気配に気づいたメイサは顔を上げた。
「腕がちぎれるまで点取って」
「了解であります」
藤也はメイサのそばを離れると、転がっていたボールを拾い上げた。
「アウトナンバー、次、俺がオフェンスする」
「須藤のくせに生意気」
翔がにやっと笑った。
「その俺に頼まなきゃ試合も出れねえのに」
「そ、それを言うのは反則だろ!!」
言い返した藤也に海斗が声を張り上げ、そのまま白石へ振り返る。
「白石先輩! こてんぱんにしてやりましょう!」
「……ああ、そうだよな。ぶちのめしてやらねえと」
大雅は笑みを浮かべると、勢いよくコートへ駆け出した。
***
「はい、しゃんとしな。2対2やるよ」
「無理……緊張して吐く」
弱音を吐く大雅に、メイサは呆れたように声を返した。
「なんで行かないあんたがグロッキーなのよ」
「だってさあ」
メイサは腕を組み、「ふむ」と一つ頷いた。
「じゃあ、2対2じゃなくてアウトナンバー1対3ね。二年生ども、やっておしまい」
「ちょっ」
「任せてください、三枝先輩」
「気が進みませんが頑張ります」
「悪く思わないでください、白石先輩」
「くっそ、悪乗りしやがって! 先輩の威厳見せたらあ!!」
メイサが藤也へボールを放ると、藤也はそれを受け取り、シューズをギュッと鳴らすと迷いなくゴールへ向かって放り投げた。翔が真っ先に駆け出し、海斗が大雅の前へ回り込んで動きを封じる。リングに弾かれたボールを翔が素早く拾い、そのまま迷いなくシュートを決めた。
「んがー! もう一回!」
男子たちがコートを駆け回り始めるのを見届けると、メイサはノートを開いた。
指先でボールペンをくるりと回しながら、四人の動きや連携を次々とノートへ書き留めていく。
その間、愛香は一輝からの連絡を気にかけながら、対戦相手になりそうなチームの試合動画や練習試合の日程を調べ続けていた。
――やがて、愛香のスマホが震えた。
「きた」
ささやくような声に、バスケ部全員が振り返った。
愛香は素早く一輝からのメッセージを開き、初戦の相手の名前を読み上げた。
「司馬川?」
メイサは小さくつぶやくと、手元のノートを迷いなくめくった。
「まあ、そんなに強くはないね。だいたい一回戦敗退、たまに勝つ、くらい」
「調べんの早くない?」
藤也が思わず突っ込むと、メイサは得意げに鼻を鳴らした。
「誰に口聞いてるの。マネージャーならそれくらい調べておくものだよ」
「俺の彼女が世界一かっこいい」
「部活中は
三枝先輩とお呼び」
藤也がメイサにもたれかかっている間も、愛香はスマホから目を離さず調べものを続けていた。
「ここ、次の休みに練習試合するみたい。相手は東」
相手の名前を聞いたメイサが首を傾げた。
「そこ、聞いたことあるな。ちょっと待ってね」
メイサはカバンからスマホを取り出すと、迷いなくサッカー部のマネージャーへ電話をかける。
「忙しい時にごめんね。あのさ、東高校ってさ、あ、そうだよね」
しばらく話を続けたあと、メイサはにやりと笑って部員たちを振り返った。
「練習試合、見に行こう」
「マジすか」
海斗が目を丸くした。
「他校同士の練習試合って見に行けるもん?」
「どうとでもなるよ。サッカー部のマネージャーつながりです」
「……俺の彼女が宇宙一かっこいい」
メイサは今度はその言葉を軽く受け流し、司馬川高校の過去の成績や試合結果へ視線を戻した。
愛香は一輝とメッセージをやり取りしながら、初戦の日時や会場を確認していく。
「うん。それぞれのポジションは今のままでいこう」
「だいじょぶ?」
大雅は不安そうな表情でメイサを見つめた。
「大丈夫。白石、突っ込んできな」
「……うす」
「三枝先輩、俺は?」
メイサの背中にくっついていた藤也が、肩越しに手元を覗き込む。気配に気づいたメイサは顔を上げた。
「腕がちぎれるまで点取って」
「了解であります」
藤也はメイサのそばを離れると、転がっていたボールを拾い上げた。
「アウトナンバー、次、俺がオフェンスする」
「須藤のくせに生意気」
翔がにやっと笑った。
「その俺に頼まなきゃ試合も出れねえのに」
「そ、それを言うのは反則だろ!!」
言い返した藤也に海斗が声を張り上げ、そのまま白石へ振り返る。
「白石先輩! こてんぱんにしてやりましょう!」
「……ああ、そうだよな。ぶちのめしてやらねえと」
大雅は笑みを浮かべると、勢いよくコートへ駆け出した。
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