彼らの夏が終わる

「須藤くん、元気だね」


 藤也が中庭のベンチで草野(くさの)と並んで部員名簿をめくっていると、(ひいらぎ)莉子《りこ》がじょうろを抱えてやってきた。


「愛する彼女が頑張ってるんで。まーそりゃきついっすけどね」

「メイサちゃん、体力あるからなあ。でも、メイサちゃんがいないとサッカー部の男子たちが元気ないって、(そう)くんが言ってたよ」

「それはそれで面白くないんですけどね……」


 藤也は名簿を閉じて立ち上がった。

 中庭を抜けて校庭へ向かうと、メイサが後輩マネージャーに何か話している姿が見える。


「メイサーあとどれくらいー?」


 藤也が声を張ると、メイサが顔を上げて笑った。


「あと三十分!」

「りょーかい!」


 藤也は満足そうに頷くと、足早に中庭へ戻る。

 途中でふと顔を上げると、視聴覚室の窓が開いていて、風に揺れるカーテンが目に入った。


「あと三十分で終わる?」

 莉子に聞かれて藤也は力強く頷いた。


「終わらせます」


 藤也は莉子を見送り、副部長の(やなぎ)に声をかけに向かった。