彼らの夏が終わる

 大学の体育館は広かった。天井も高く、コートの向こう側が遠く感じられるほどで、高校の体育館の倍近い広さがあった

 海斗は「吐きそう」と呟き、翔も「体力保つかな」と呟く。

 メイサは、


「吐くならあっちにトイレあったし、体力がなくなっても走るんだよ」


 と笑って言うと、そのまま相手側のマネージャーへ挨拶に向かった。

 挨拶を終えるとすぐに戻り、一行は控室へ移動した。

 男子たちが黙々と着替えを始める中、少し遅れて愛香が控室へ入ってきた。


「おかえり、まなちゃん。どうだった?」

「メイちゃんの言うとおりだった」

「なに?」


 靴ひもを結んでいた大雅が顔を上げた。

 一輝も愛香とメイサに顔を向ける。


「まなちゃんに迷子のふりして、敵情視察してもらってきた」

「俺の愛香にそういう危ないことさせんな。せめてやらせるなら、先に言えよ」

「言ったらあんたが自分で行くって言いだすからダメ。あのね、ここのバスケサークル、そんなに真面目にやってるとこじゃないからさ、高校生相手なら遊び気分だと思ったんだよね」

「うん。そんな感じのことを話してたよ」


 愛香は大学構内を歩いているときに耳にした、バスケサークルの大学生たちの様子をメイサへ報告した。


「終わったらマネージャーだけ呼んで合コンの予定だってさ」

「は?」「あ?」


 藤也と一輝の声が重なった。

 他の三人も顔を上げて愛香を見ている。


「そんなことだろうとは思ってたけどね」


 メイサはにやっと笑って手にしていたノートをぱたんと閉じ、着替えを終えた部員たちをゆっくり見回した。


「あんたたち、やっておしまい」

「いや、だからなんで悪役ムーブなんだよ……」


 藤也が呆れた顔で笑った。

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