彼らの夏が終わる

 その後はメイサを先頭に学校の外周を二周し、体育館へ戻ると1on1を繰り返す。
 十一時を過ぎたころにメイサが手を叩いて止めた。


「はーい、今日の練習ここまで。クールダウンしながら今後の予定の話して、試合動画見るよー」


 大雅と海斗がスコアボードを片づけ、翔は最後まで1on1をしていた一輝と藤也からボールを受け取り、片づけ始める。

 藤也が一輝に勝てたのは入部前の一回きりで、あれから一度も勝てていなかった。

 愛香はスマホで体育館の隅にあるテレビモニターに試合を映し出す。


「なんだ、これ」


 一輝は汗を拭きながら目を細めた。

 藤也も座り込んだまま、メイサに汗まみれの頭を拭いてもらいながら、首をかしげる。


「大学生の試合?」

「そだよ。今度練習試合する相手ね」

「は? はあ?」


 一輝の声が裏返った。

 片づけを終えて戻ってきた大雅、海斗、翔は、一輝の裏返った声に目を丸くした。

 愛香が手元のレーザーポインターで片方のチームを指した。


「来週末、こっちのチームと試合することになりました」


 バスケ部四人が息を呑んだ。

 藤也は首をかしげたまま、メイサを見た。


「なあ、メイサ。大学生と試合って珍しいの?」

「サッカー部はたまにあるよ。バスケ部はそうでもなさそうだけど。それと、三枝先輩とお呼び」

「はい、三枝先輩」

「調教師か……?」


 大雅が嫌そうな顔でつぶやいたが、メイサは無視して手元の書類をめくった。


「この人たち、明日の日曜日も練習試合があるらしいから、みんなで見に行っておいで」

「三枝と須藤は?」


 一輝が聞くと、藤也は淡々と答えた。


「俺は実家の手伝い」

「私はその花屋でバイト」


 メイサもそう言って愛香を見る。


「まなちゃん、敵情視察、よろしく」

「任せて」


 力強く頷く愛香に、メイサはにこっと笑い返した。その様子を、一輝はどこか眩しそうな表情で見つめていた。