彼らの夏が終わる

 少し離れた場所では、愛香に足を押さえてもらいながら腹筋をしていた藤也が、一輝と海斗、そしてメイサをじっと見つめていた。


「須藤くん、集中してほしいんだけど」

「してます。ちゃんと指定の回数腹筋してるじゃないですか」

「そうだけどさ。私とメイちゃん、代わろうか?」

「いえ、大丈夫です。俺は遠くからメイサがマネージャーやってるのを見るのが楽しいので」

「それ、楽しいのか……?」


 隣で同じように腹筋をしていた大雅が首を傾げた。

 藤也は笑顔で頷く。


「俺、メイサとは学年も部活も違いますからね。マネージャーがどんなことしてるのかもよくわかってませんし。だから、同じ部活でいつもと違う顔が見られて眼福です」

「眼福って……そんなもんか?」


 反対の隣にいた翔が呆れた声を出した。


「まー彼女のいない人たちにはわかんないですね」


 あはは、と笑う藤也を見て、大雅は肩をすくめた。


「あそこで彼女でもないくせに嫉妬剝き出しで睨んでるやついるから気をつけろよ」


 藤也と翔は身体を起こしながら、大雅の向こうへ視線を向けた。

 一輝がメイサに身体を支えられながら、こちらを――いや、愛香をじっと見つめている。


「ウケる」

「付き合えばいいのに」

「大雅、からかわないで」


 愛香が呆れた声を出した。

 メイサが「集中して!」と声を上げて、一輝がうめき声を上げるのと、ほぼ同時だった。

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