彼らの夏が終わる

 須藤(すどう)藤也はメイサに手を振ったあと、中庭にやってきた。

 ずらりと並ぶ花壇の周りでは、園芸部員たちが汗を流しながら作業を続けていた。虫を取り除き、脇芽を間引き、水やりの様子を確かめるなど、やるべきことはいくらでもある。

 藤也はあちこちで指示を出して回っていたが、炎天下では歩くだけで額から汗が次々と流れ落ちた。


(やなぎ)-、校門の苗の様子どう?」


 スコップとゴミ袋を持ってやってきた副部長の柳に、藤也は声をかけた。


「ものによる。マリーゴールドはいいけど、ヒャクニチソウが虫だらけになった」

「えー、見に行く?」

「隙間空けて薬撒いて様子見するから、大丈夫。他の場所は?」


 藤也は手にしていたメモを柳に見せる。


「ま、他は大丈夫。中庭は草野(くさの)先輩いるし、裏門は世菜(せな)がいるし」

「あー、裏門は一年が一人か……誰か回したいけど……無理だな、人が足りない。しかも世菜ならなんとかしてくれる気がする」

「そうなんだよ。ま、俺がたまに様子見に行くから、柳も気にかけてやって」

「はいよ。須藤は世菜に厳しいな」

「任せたら任せただけ働いてくれるから、つい」


 藤也はそう言って苦笑したが、口にした言葉が父親からよく言われるものと同じだと気付いた。


「……パワハラになる前に止めるわ」

「そうしてやんな。世菜、溜め込むから」


 柳は笑いながら、再び校門の花壇へ戻っていった。

 藤也は照り返しの強い校庭へ戻ると、忙しく動き回る部員たちへ次々と声をかけに向かう。

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