彼らの夏が終わる

 三枝(さえぐさ)メイサは、照りつける真夏の日差しの下、校庭を忙しなく走り回っていた。

 サッカー部のマネージャー業はおおむね一、二年生へ引き継いでいたため、そのサポートをしながら、自分は細かな雑務を引き受けていた。


「柔軟サボりたがる男子多いけど、しっかりやらせてね。事故率下がるから」


 メニューの組み方、選手の癖、コーチとのやり取り、他校の情報……。ほかのマネージャーとマニュアルに沿って引き継ぎは済ませたものの、それでも伝えておきたいことは山のようにあった。

 そのうえ雑用も山ほどあり、バスケ部の助っ人でしばらく持ち場を離れていたメイサは、額に汗をにじませながら休む間もなく働いていた。

 ボールを倉庫から運び出し、ドリンクを作り、汗を拭くタオルを配り……。


「さ、三枝先輩にそんな雑務させられないです!」


 と一年生からは言われたが、他の三年生もやっているし、一年生には他にもやってもらうことが山ほどある。


「いいよ、いいよ。それより、ドリンク作りを教わっておいで」


 そう言うと、メイサは照り返すグラウンドへ再び駆け出した。

 コーンを並べ、白線を引き終えたところで、校舎沿いの花壇の脇を歩く藤也(とうや)の姿が目に入った。眉間にしわを寄せ、手元の紙をじっと見つめている。


「藤也ー!」


 メイサが大きく手を振ると、藤也はゆっくり顔を上げた。メイサに気付くと、表情をふっと緩め、同じように手を振り返した。


「メイサ-、おつかれー!」

「藤也、今日何時まで?」

「夕方! そっちは?」

「こっちも! 校門で待ってる!」


 メイサは満面の笑みで大きく手を振ると、白く光るラインカーの待つグラウンドへ軽やかに駆け出した。

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