彼らの夏が終わる

 三人が図書館に行くと、窓辺にガラス細工が並んでいた。

 差し込む日の光を受けて、色とりどりの影がステンドグラスのように床へ広がっている。


「なんだっけ、見たことある」


 大雅が首を傾げると一輝が「ああ」と声を上げた。


「びいどろだろ? ぺこぺこ拭くやつ」


 愛香はふふっと笑う。


「小学校の修学旅行で買ったよね。二人が勢いよく拭きすぎて、ガラス割ってた」

「……そうだった」

「んなことあったっけ?」


 大雅は笑って頷き、一輝は首を傾げた。


「うちにまだあるよ、あのときのびいどろ」

「愛香は物持ちがいいな」

「そういえば美琴(みこと)もびいどろ買ってきてたわ。なに、人気の土産なん?」


 三人はびいどろから目を離して自習室に向かう階段を上がった。

 階段を上がりきったところで、愛香が顔を上げた。


「そういえば、美琴ちゃんは大丈夫そう?」

「うん。なんか意外と楽しくやってるっぽい。バレー部の女マネと、サッカー部の女マネが助けてくれるってさ」

「それなら、よかった」


 愛香はほっとしたように微笑んだ。


「あと三人か」


 一輝が呟いたが、大雅は階段を上がりきって頷いた。


「ま、どうとでもするだろ。俺の妹だし」

「大丈夫だよ。私たちがいなくたって」


 三人は自習室の扉を開けた。

 自習室から流れてきたひんやりとした風が、夏の熱を帯びた肌をやさしく撫でた。