【新作】檻の外へー極道なんて、大嫌いー

息ができない。激痛に顔を歪め、膝から崩れ落ちそうになるのを必死に堪える。
私が体勢を崩したのを見て、半グレたちは一瞬怯んだものの、すぐに形勢逆転を悟った。
「おい、コイツやべぇぞ! 今のうちにズラかるぞ!」
「チッ、顔は極上なのに気味の悪いガキだぜ!」
彼らは私に追撃をかける度胸すらなく、蜘蛛の子を散らすように裏路地の奥へと逃げ出していく。
待て、と叫ぼうとした喉からは、ヒューッという掠れた呼吸音しか出なかった。
逃がした。
あんな、その辺のチンピラ同然の半グレたちを。
小鳥遊組組長の娘として、絶対に失敗が許されない私が。
冷たいコンクリートの壁に背中を預け、私はズルズルとその場にへたり込んだ。
限界を超えた体の痛みよりも、心臓を鷲掴みにするような『絶望』の方が何倍も強かった。
(失敗した……。頭に、報告しないと……)
仕事を全うできなかった駒に、あの冷酷無慈悲な父がどんな罰を与えるか。
あるいは、あの恐ろしい義兄・魁が、無能な私をどう処理するか。
ネオンの光が滲む路地裏で、私は迫り来る恐怖に、ただガタガタと震えることしかできなかった。