振ったはずの元カレが、今でも私を離してくれません。


呼び込みの仕事に戻ろうとした、その時だった。

ざわり、と人の流れが少し変わる。

「え……」

誰かの声。

『ねぇあの西高の人かっこよくない!?』

その言葉に、私は無意識に顔を上げた。

人混みの向こう。

ゆっくりと歩いてくる人たちの中に。

一人だけ、見覚えのある背の高い影があった。

(……え)

呼吸が止まる。

制服の雰囲気。

歩き方。

視線の落とし方。

全部が記憶と重なる。

間違えるはずがない。