振ったはずの元カレが、今でも私を離してくれません。


「はいはい、独占欲こじらせ男子ね」

「うるさい」

そう言いながらも、否定はしなかった。

窓の外を見る。

秋の空はやけに高い。

なのに、胸の中だけはずっと落ち着かないままだった。

(……澪ちゃん)


2年ぶりに会ったあの日。

あの目。

あの声。

全部、ちゃんと覚えてる。

忘れたふりなんて、できるわけがない。

「なぁ光」

樹が少しだけ真面目な声になる。

「なんだよ」

「今度こそさ」

「……」

「ちゃんと向き合えよ」

その言葉に、視線だけが止まる。

逃げるな。

その意味は分かってる。

「……分かってる」

短くそう返して、立ち上がる。

でも胸の奥では、まだ揺れていた。