振ったはずの元カレが、今でも私を離してくれません。


澪ちゃん。

あの日。

カラオケで再会した。

本当に偶然だった。

別れてから2年間、一度も会っていなかったのに。

まさか、あの場所で。

「なぁ光。」

樹が隣に座る。

「なんだよ」

「お前、顔ずっとそれな」

「どれだよ」

「考えてる顔」

「別に」

即答するけど、樹はため息をつく。

一瞬、言葉が止まる。

図星すぎて、返す気にもならない。

樹は肩をすくめた。

「俺には正直どこがいいのか分かんないけどね」

その言葉に、少しだけ眉が動く。

「……いいんだよ」

低く短く言う。

「お前には分からなくて」

続けようとして、一瞬だけ言葉を選ぶ。

そして、小さく息を吐いた。

「分からない方が、助かるし」

樹は一瞬黙って、それから苦笑した。