振ったはずの元カレが、今でも私を離してくれません。


「澪ー」

咲が私の顔を覗き込む。

「今なに考えてたのー?」

「えっ、別に……」

「また篠宮先輩?」

「っ……!」

即答できない自分が悔しい。

「違うってば!」

「顔、真っ赤。」

「なってない!」

必死に否定しても、咲はニヤニヤしている。

「でもさー」

咲は楽しそうに続ける。

「カラオケの日、絶対何かあったよね?」

「な、何もないよ……ただ偶然会っただけだし……」

「偶然であんな顔する?」

「どんな顔!?」

「……嬉しそうな顔。」

その一言で、胸がぎゅっとなる。

嬉しいって、

そんな顔、絶対してないもん。