「……。」
胸の奥が少しだけ熱くなる。
そのまま歩き出そうとした、その時だった。
「なぁ、西高と東高ってさ。」
男子の声が廊下の端から聞こえてくる。
「今年の合同文化祭、ガチでレベル高くね?」
「分かる。東高ってさ、普通に可愛い子多いって有名だし。」
「え、マジ?」
「うん。あと普通におとなしい系多いんだよな。ああいうの一番ヤバい。」
「それな。絶対混むわ。」
笑いながら話す声が、勝手に耳に入ってくる。
東高。
その単語だけで、少しだけ呼吸が浅くなる。
(……可愛い子多い、か。)
別に関係ないはずなのに。
なぜか胸の奥がざわついた。
「でもさー。」
別の男子が続ける。
「東高の文化祭行く目的って、結局食べ物と出会いじゃね?」
「最低で草。」
「いや現実だろ。」
「まぁ西高も同じだけどな。」
笑い声。
軽いノリ。
その中で一つだけ引っかかる言葉があった。


