振ったはずの元カレが、今でも私を離してくれません。


「光。」

樹がパンをかじりながら言う。

「なに。」

「行くよな?」

「行かねぇって。」

「嘘つけ。」

即答される。

「お前、絶対行く。」

「なんでだよ。」

「見てたら、分かるから。」

その言葉に、何も返せなかった。

うるさい。

でも。

間違ってないか。


放課後。

廊下を歩いていると、女子たちの声が聞こえた。

「ねぇ聞いた?」

「東高の人もイケメン多いらしいよ!」

その名前に、足が止まる。

「ほんと!?」

「絶対見に行く!」

「写真一緒に撮りたい!」

「やばいじゃん!」

騒がしい声。

でも俺が気になるのはそこじゃない。

(……東高校。)

澪ちゃんのいる場所。

今度こそ。

ちゃんと話せるのか。

ちゃんと笑えるのか。