振ったはずの元カレが、今でも私を離してくれません。


「澪ー!」

咲が私の腕に抱きつく。

「楽しかったね!」

「うんっ……」

「最初は来たくなさそうだったのに!」

「……それは。知らない人たちばっかだから。」

すると、咲も笑った。

「でも良かった、楽しめたみたいで!じゃあ帰ろっか!」

みんなで部屋を出て、一階へ降りる。

会計を済ませ、店の外へ出ると、夕方の少し涼しい風が頬を撫でた。

「じゃあ駅まで一緒に行こ!」

誰かの一言で、自然と全員が歩き始める。

男子同士で話す人。

女子同士で盛り上がる人。

私は咲の隣を歩いていた。

その少し後ろから。

「澪ちゃん。」

聞き慣れた声がした。