振ったはずの元カレが、今でも私を離してくれません。


カラオケの部屋から漏れる歌声だけが聞こえてくる。

「元気だった?」

あまりにも普通の一言。

それだけなのに。

涙が出そうになる。

「……はい。」

「高校生活は、慣れた?」

「はい。」

「友達は?」

「…出来ましたっ」

「そっか。」

光くんは安心したように笑った。

昔と同じ笑顔。

その笑顔を見るたびに、胸が痛くなる。

どうして。

どうしてそんな顔で私に笑いかけてくるの。

私は一方的に振って傷つけたはず。

「……澪ちゃん。」

「な、なんですか?」

「俺は会えて嬉しいよ。」

「……!」

その一言に、思わず息を呑む。

「俺さ」

光くんは少し照れくさそうに笑う。

「もう澪ちゃんには会えないと思ってたから。」