振ったはずの元カレが、今でも私を離してくれません。


そう思っていると。

「なあ樹。」

隣に座っていた男子が小声で話しかける。


「篠宮、あの子と知り合いだったんだな。」

「あぁ。」

「珍しいよな。あんな笑ってるの。」

「……。」


高見先輩は返事をしない。

「女子に優しい篠宮なんて初めて見た。」


「……そうだな。」


短く返したその声には、どこか棘があった。