振ったはずの元カレが、今でも私を離してくれません。


「……。」

その様子を少し離れた席から見ていた高見先輩が、小さく息を吐いた。

「この子が……。」

誰にも聞こえないほど小さな声。

けれど、その呟きには諦めにも似た感情が滲んでいた。

「高見?」

近くにいた男子が首を傾げる。

「ん?今なにか言った?」

「……いや。」

高見先輩はすぐに笑って誤魔化す。

「独り言。」

そう言うとコップを口元へ運んだ。

だけど、その視線だけは私から逸れない。

冷たい。

まるで私を責めているような目。

思わず目を逸らす。

(……なんで。)

私、あの人に何かしたっけ。

初めて会ったはずなのに。

あんな目で見られる理由なんてない。