しばらく待っていると。
校舎から光くんが出てきた。
少し疲れたように伸びをしながら歩いている。
でも、まだ私には気づいていない。
その時。
「篠宮くん!」
制服姿の女の子が二人、光くんへ駆け寄った。
「今日よかったら一緒に駅まで帰らない?」
「クリスマスマーケットも行こうよ!」
思わず息を呑む。
光くんは二人を見て、表情を変えないまま口を開いた。
「……無理。」
その一言だけだった。
私に向ける優しい声とは違う。
少し低くて、淡々とした声。
「今日は大事な約束があるから。」
期待を持たせない。
でも必要以上に傷つけもしない。
そんな、はっきりとした断り方だった。

