振ったはずの元カレが、今でも私を離してくれません。

そっと光くんの手を握る。

「これからは、一人じゃありません。」

光くんが目を丸くする。

「私がいます。」

「……澪ちゃん。」

「寂しい時も、辛い時も、ちゃんと頼ってください。」

「……。」

「私は光くんの彼女なんですから。」

その一言に、光くんは少しだけ目を潤ませながら笑った。

「……うん、ありがとう。」

その笑顔は、さっきまでよりずっと柔らかくて。

私は改めて思う。

(この人を、もっと支えたい。)

(今度は私が、光くんの居場所になりたい。)

その想いは、静かに、でも確かに胸の中で大きくなっていった。


「……光くん。」

「ん?」

「今日は沢山甘えてくださいね。」

そう言うと、光くんは少し照れながら笑った。

「もう十分甘えてる気がするけど。」

「もっとです。」

「うん。」

その笑顔を見届けてから、私はキッチンへ向かった。