振ったはずの元カレが、今でも私を離してくれません。


「実はさ。」


「はい?」


光くんが少し照れくさそうに笑う。


「俺、一人暮らしなんだ。」


「……え?」


思わず聞き返してしまう。


「両親、仕事の都合で海外にいるから。」


「そうだったんですか……。」


驚きのあまり、言葉が出てこない。

光くんは少しだけ肩をすくめながら笑った。


「だから今は、一人暮らし。」


そう言って笑う光くん。

でも、その笑顔の奥に少しだけ寂しさが見えた気がした。


私は部屋を見渡す。


きれいに片付いた机。


洗濯物も畳まれていて、流し台にも食器は少ししかない。


全部、自分でやっているんだ。


(風邪をひいても……。)


(熱があっても、一人でご飯を作って、一人で薬を飲んで、一人で寝て……。)


そう思った瞬間、胸がぎゅっと締めつけられた。