振ったはずの元カレが、今でも私を離してくれません。


「一曲だけ!」

「パス。」

短い返事。

それ以上何も言わない。

教室で先生に当てられたみたいな、そっけない口調だった。

(変わってない……。)

いや。

少し違う。

中学の頃の光くんは、こんなに冷たい話し方じゃなかった。

誰にでも優しくて、よく笑って。

私が落ち込んでいると、すぐに気づいてくれた。

なのに今は——。

「篠宮くんって、やっぱクールだよね。」

女子の一人が苦笑いを浮かべる。

「全然喋ってくれない。」

「昔からあんな感じなの?」

別の子が樹へ聞いた。

樹くんと呼ばれる人はジュースを飲みながら肩をすくめる。