振ったはずの元カレが、今でも私を離してくれません。


「悪いけど、お見舞いも兼ねて届けてやってくれない?」

「……え?」

突然のお願いに目を丸くする。

「光、たぶんめちゃくちゃ喜ぶ。」

そう言うと、高見先輩は制服のポケットから小さく折りたたまれた紙を取り出した。

「これ光の家の住所本当は、連絡先交換して送れば早いんだけど。」

少し苦笑して肩をすくめる。

「俺とあんたが連絡先交換したなんて光に知られたら、後が怖いから。」

「あいつ、独占欲強いし。」

その言葉に、思わず小さく笑ってしまった。

高見先輩から住所が書かれた紙を受け取り、私は大切に握りしめる。

(光くん。)

今度は私が支える番。

いっぱい甘やかしてあげたい。

いっぱい「大丈夫だよ」って伝えてあげたい。

そう心に決めると、私はプリントを胸に抱きしめた。

「……高見先輩、ありがとうございました。」

「私、行ってきます。」

「任せたぞ。」


夕暮れの空の下。

私は光くんの家へ向かって、一歩を踏み出した。