振ったはずの元カレが、今でも私を離してくれません。


(やっと……伝えられたから。)

「……いいよっ」

その一言に、光くんの目がほんの少し揺れた。

次の瞬間。

光くんの手が、そっと私の頬に触れる。

優しいのに、逃げられなくなる。

「……澪ちゃん」

すごく小さな声。

そして——

ゆっくり、距離がなくなった。

風の音も、公園の音も、一瞬だけ消える。

やわらかくて、短い。

でもちゃんと伝わるキスだった。

離れた瞬間。

時間が戻るみたいに、風が吹いた。

「……っ」

私は顔を隠しかけて、でも隠しきれなくて。

光くんを見る。

ちょっと顔が赤いのに、すごく嬉しそうに笑っていた。