振ったはずの元カレが、今でも私を離してくれません。


しばらく沈黙が落ちる。

でもその沈黙は嫌じゃない。

むしろずっと続いてほしいくらいだった。

それでも胸の奥がざわつく。

(これ以上近くなったらどうなるんだろう)

そう思った瞬間。

光くんがぽつりと言った。

「ねえ」

「はい」

「今日さ」

少しだけ間。

「なんかまだ帰りたくないなって思ってる」

その一言で、空気が止まる。

風の音も、自分の心臓も。