振ったはずの元カレが、今でも私を離してくれません。


それが逆に一番落ち着かない。

風が吹いて、髪が揺れる。

そのたびに距離が少しだけ曖昧になる。

「澪ちゃん」

「はい」

呼ばれるだけで心臓が動く。

光くんは前を見たまま言った。

「今日はさ」

「……はい」

「ずっとこうしてたいって思ってる」

一瞬、言葉の意味が追いつかない。

でも光くんは普通の顔をしている。

まるで当たり前みたいに。

「それ、ずるいです」

思わずそう言ってしまう。