振ったはずの元カレが、今でも私を離してくれません。


“澪ちゃん好きかな”って……)

それってつまり、私が好きそうだからわざわざ選んでくれたってこと?

そう思った瞬間、心臓が少しだけ変な音を立てた。

「入ろ」

光くんは自然に扉を開ける。

中に入ると、ふわっとコーヒーの香りが広がった。

静かで、少しだけ薄暗い照明。

ゆっくりした音楽が流れている。

(……わぁ、落ち着く)

でも、光くんが隣にいるだけで落ち着ききれない。

窓際の席に座る。

向かい合わせ。

真正面から見るのは、カラオケ以来くらいかもしれない。