振ったはずの元カレが、今でも私を離してくれません。


駅を出たあと、最初に向かったのは小さなカフェだった。

休日の朝にしてはまだ人通りが少なくて、街は少しだけゆっくりと動いている。

その中を、光くんと並んで歩く。

「ここ」

光くんが指さしたのは、駅から少し外れた落ち着いた雰囲気のカフェだった。

木の看板と、ガラス張りの小さな入口。

「前から気になってたんだ」

「そうなんですか?」

「うん」

光くんは軽く笑って続ける。

「なんかさ、こういう雰囲気のとこ、澪ちゃん好きかなって」

その言葉が、何でもないみたいに落ちてくる。

でも私の胸にはしっかり引っかかる。