振ったはずの元カレが、今でも私を離してくれません。


カフェを出たあと、咲と別れて私は一人で駅へ向かっていた。

夕焼けがビルの隙間に沈んでいく。

オレンジ色が少しずつ薄くなって、空が夜に変わっていく途中。

そのグラデーションをぼんやり見ながら、さっきの会話が何度も頭に浮かぶ。

(今度は私が、光くんのことを追いかける。)

口にした時は、少しだけ強くなれた気がした。

でも今になると、その言葉の重さに胸が押される。

スマホを取り出す。

トーク画面。

最後のやり取りは、まだ残っている。

『また一緒に出かけようね』

その一文を見つめるだけで、指が止まる。

「……送れない」

打ちかけたメッセージを消す。