振ったはずの元カレが、今でも私を離してくれません。


「……やだ。逃げることはもう沢山した。」

少しだけ息を吸って、続ける。

「今度は私が、光くんのことを追いかける。」

そう口にした瞬間、不思議と胸の中の霧が少し晴れた気がした。

咲は嬉しそうに笑って、私の肩をぽんっと軽く叩く。

「それでこそ、澪!」

その笑顔につられて、私も少しだけ笑う。

だけど心の奥では、ひとつの想いが静かに強くなっていた。

(光くん。)

次に会えたら。

今度は、ちゃんと勇気を出そう。

そんな小さな決意が、夕暮れの優しい光の中で静かに芽生え始めていた。