少し緊張したような表情で、ぎゅっと鞄を握りしめている。
「えっと……。」
私をまっすぐ見つめながら、小さく口を開いた。
「冴木澪さん……ですよね?」
「……はい。」
どうして私の名前を。
そう思った瞬間。
女の子は深呼吸をして、小さく頭を下げた。
「突然すみません。」
「私、西高校一年の——」
「早乙女朱里です。」
西高校。
その言葉だけで、胸がどくんと鳴る。
まさか。
「篠宮先輩のことで、お話があります。」
その一言に、空気が静かに張り詰めた。
私は思わず、息を呑んだ
あぁ、嫌な予感がする。
やっと自分の気持ちに正直になれたのに……。
神様はいじわるだ。


