振ったはずの元カレが、今でも私を離してくれません。


知りたかった。

それだけだった。

しばらくして、電車が目的の駅へ到着する。

改札を抜けると、目の前には東高校へ続く道。

「ここだ……。」

行くのは文化祭ぶりだ。

朱里は小さく深呼吸をする。

そして、ゆっくりと歩き始めた。

数分後。

東高校の校門が見えてくる。

ちょうど部活動へ向かう生徒たちが行き交い、校内は放課後らしい賑わいに包まれていた。

(確か、名前も樹くんが……冴木澪さん?だっけ……。)

その名前だけを胸に、私は校門をくぐる。


この時はまだ知らない。

この出会いが、自分の気持ちだけじゃなく、

篠宮先輩と冴木澪、

二人の止まっていた時間を、大きく動かすことになるなんて――。