振ったはずの元カレが、今でも私を離してくれません。


自然と口元が緩んだ。

「……かわいい。」

思わず漏れた小さな一言。

その声を聞いた樹が、盛大に吹き出した。

「ぶっ……!」

「お前終わってる。」

「何が。」

「その顔。」

樹はニヤニヤしながら俺を見る。




「完全に恋してる顔。」

「……。」

否定しようとして、やめた。

もう隠す必要なんてない。

二年前。

別れを告げられたあの日から。

一度も気持ちは変わらなかった。

昔も。

今も。

俺が好きなのは、たった一人。

澪ちゃんだけ。

スマホをそっと閉じる。

(澪ちゃん。)

昨日別れたばかりなのに。

もう会いたくなってる。

そんな自分に少しだけ苦笑した。

(早くまた、会いたいな。)

胸の奥で静かに想う。

今度こそ。

もう二度と、その手を離さないように。