振ったはずの元カレが、今でも私を離してくれません。


俺は静かに続ける。

「他の人に気を持たせる方が、その人に失礼だろ。」

その言葉に、樹は苦笑した。

「相変わらず重いな、お前。」

「……。」

「でも。」

樹は肩をすくめながら笑う。

「そういうとこ、お前らしいわ。」

俺は何も答えなかった。

代わりにポケットからスマホを取り出す。

ロック画面には、昨日撮った一枚の写真。

クラゲの水槽の前で、嬉しそうに見上げる澪ちゃんの後ろ姿。

本人には内緒で、こっそり撮った写真だった。

青い光に照らされた横顔が、本当に綺麗で。

見ているだけで、不思議と心が落ち着く。