振ったはずの元カレが、今でも私を離してくれません。


「うわぁ……。」

「篠宮、容赦ないな……。」

「でもあそこまではっきり言われたら、逆に諦めつくかも。」

そんな声があちこちから聞こえてくる。

俺は気にすることなく、自分の席へ座った。

隣では樹が大きくため息をついている。

「相変わらずだな、光。」

「……何が。」

「好きじゃない子には、まじで冷てぇ。」

「当たり前じゃねーの?」

俺がそう返すと、樹は肩をすくめる。

「いや、普通もうちょいオブラートに包むだろ。」

「期待させる方が嫌だ。」

迷いなく言い切る。

「最初から無理なら、ちゃんと無理って伝えた方が相手のためだろ。」

樹は数秒黙ると、小さく笑った。

「……そういうとこ、俺も好き!」

「きも。」

俺が本当に優しくしたい相手は、一人だけ。

その人以外に勘違いするようなことは、したくなかった。