「え、なんで?」
私は少しだけ目を伏せて、小さく笑う。
「だって、その方が安心できるから。」
モテる人を好きになると、苦しくなる。
誰かに奪われるかもしれない。
いつか捨てられるかもしれない。
そんな不安ばかりが大きくなってしまう。
……だからもう、恋なんてしない。
少なくとも、モテる人には。
そう決めた。
二度と、あんな思いをしたくなかったから。
だけど——。
数日後。
友達に頼まれて人数合わせで行くことになった、他校の人たちとのカラオケ。
そこで私は、
二度と会うことはないと思っていた人と再会することになるなんて——
この時の私は、まだ知らなかった。


