振ったはずの元カレが、今でも私を離してくれません。


レジで会計を済ませた光くんが戻ってくる。

「はい。」

そう言って、小さな袋を私へ差し出した。

「澪ちゃんの。」

「……ありがとう、光くん。」

大切そうに袋を受け取る。

胸の奥がじんわり温かくなった。

レジを終えて、水族館の外へ出る。

空は少しずつ夕焼け色に染まり始めていた。

「もうこんな時間なんだね。」

「ほんとだ。」

水族館の前にあるベンチへ並んで座る。

秋の風がふわりと吹き抜ける。

少しだけ冷たい。

でも。

隣にいる光くんの存在が温かくて、不思議と寒くは感じなかった。

「光くん。」

「ん?」

「今日は……ありがとう。」

そう伝えると、光くんはゆっくり首を横に振る。